ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします。
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共に学び、共に育つ「共育ともいくのまち」の実現を目指す、《逗子トモイクフェスティバル2024~さあはじめようNew Normal~》が2日間にわたり開催された。その中のコンサート企画《逗子LIVE INCLUSIVE 2024》を訪れた。
出演者12名による豪華なステージだった。ディズニーソング、クラシック、出演者のオリジナル楽曲など曲調も多岐にわたり、ミラーボールやカラフルな照明に飾られたステージは、休憩なしで15曲、2時間ぶっ通しで聴衆を引きつけた。
マイク越しのボーカルはストレートだ。射貫かれた。聞き慣れているはずのディズニーソングが、今までと全く違って聴こえた。麻生かほ里さんが歌った、リトル・マーメイドの《Part of Your World》を聴きながら、なんて全力の願いなんだろうと切なくなった。ひとフレーズごとに懸命さが伝わってきて、そんなのムリだよ、と言わずに、そうしたいんだね、と受け止めたくなるような歌唱だった。
そして、歌声はおなじみの“アラジン”と“野獣”。この人たちだったのか、歌声の主は!とてもキャッチーなお二人で、アラジン=石井さん、野獣=中井さんで実写版ディズニー映画ができそうだ。
コンサートの途中で、アーティスト同士、肘を貸し借りして退場を誘導するのを見て、何名かの出演者がdisabledだと気づいた。思えば開演前にスタッフさんが壁の座席表を指しながら、座席の位置と近い入り口を丁寧にお伝えしていたり、終演後には真後ろに介助犬がいたことに気づいたり、全般的にインクルーシブが体現されていた。けれど、コンサートとして取り立てて何かが違う印象は受けない。演奏は素晴らしく、トークも面白く、みなさんがキラキラしていた。ラッキーなことに最後の1曲《Over The Rainbow》は撮影OKだったので、その様子をいつでも振り返ることが出来る。
あらためてINCLUSIVEってなんだろうと考えた。コンサートでは、「垣根を作らないこと、多様性を受け入れること」と説明があったが、なんとなく実際は難しいような気がしてしまう。こんな考えが垣根なのかもしれないが、互いの多様性を受け止めるって簡単ではないし、遠慮もあるから器用に行動できない。でも、音楽家が即興演奏で互いに息を合わせるように、誰かの思いに心を傾けて、合図をキャッチし合えたらいいな、と思えた。
ライブから一週間、いよいよ4月を迎えた。これからどんな社会になっていくだろう。この先のNew Normalに向けて、私自身がどう行動できるか、問い続けていきたい。
ボランティアライター 深谷香