イベントレポート 「レ・フレール ピアノ連弾コンサート Boogie Back to ZUSHI」2024年9月7日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 逗子文化プラザホールニュースの紙面から「ピアノ連弾」の文字が目に入った。
 と、同時に私の頭に一枚の好きな絵画が浮かんだ。キャプションは『男二人』。明治時代の画家・原撫松(はらぶしょう)の作品だ。友人によれば「この絵画にピアノは描かれていないが、男二人がピアノの連弾をしている場面と、よく言われているそうだ」と話していた。私には、この絵画から明治時代の静かな連弾ピアノ曲が聴こえるように思えた。
 本日の公演。レ・フレール(「兄弟」を意味するフランス語)は横須賀市出身の斎藤兄弟(兄・ 守也(もりや)、弟・圭土(けいと))のピアノ連弾コンサート。
 演奏が始まると、なぎさホールに心を揺さぶる衝撃が走った。ただのピアノ連弾サウンドではない。2本の手では成しえない、4本の手で探り出した、ピアノの革命的な演奏法・音の響きのようだ。18年前の2006年、横須賀市出身の斎藤兄弟がピアノのポテンシャルを新しく紡ぎだした(2006年11月にメジャーデビュー作をリリース)。アップサウンドながら流れるような演奏、観客の心や全身を揺さぶる。文字でこのサウンドの素晴らしさを表現する限界を感じさせる心地良さだ。
 今回レ・フレールは、逗子文化プラザホールにメジャープレイヤーとして帰ってきた。曲は二人が作曲するオリジナル。CDリリースしていない新曲2曲を演奏で聴かせてくれた。『Buddy~相棒~』と『NAGISA』だ。
 休憩を挟んで演奏再開だ。かなりの集中と精神力がいると思われる演奏に感じるが、二人は、よりパワーアップしていき客席をサウンドの美と迫力で巻き込んでいく。
 アンコール曲が終わると、観客は立ち上がって拍手を送り、レ・フレールに受けた感動を伝えようとしていた。
 あえてレ・フレールのサウンドを文字で表現すると、あらゆる年齢層を惹きつけ、人の魂を揺さぶるように熱いが、繊細で心地良い音楽だ。絵画で表現するならば、画面から美の振動が伝わるものが良いようだ。(振動の種類は原撫松とは異なりダイナミックだが、絵のキャプションは「ピアノ・duet 男二人」でいかがだろうか。)
 終演後、なぎさホールのホワイエでは、レ・フレールのCDを始めとしてオシャレでセンスの良さを感じさせる小物が販売され、観客が詰めかけていた。
 あと2年でレ・フレールは結成20周年になる。また逗子のホールで聴きたいものだ。

ボランティアライター 海原弘之

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