イベントレポート 「逗子市市制70周年記念事業 なぎさString Quartet」2024年9月16日(月・祝)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 弦楽四重奏(1st ヴァイオリン:土屋杏子、2nd ヴァイオリン:松谷萌江、ヴィオラ:桜井すみれ、チェロ:福井綾)。
 前半はクラシック。《弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」》(A.ドヴォルザーク)。チェコの作曲家ドヴォルザークは、仕事のため、数年間をアメリカで過ごした。本作はその間に作られた曲である。故郷を思い出していたのだろうか。重厚感と深みに寂しさを伴ったメロディで始まる。4人の演奏は美しく丁寧で、作曲者の思いを汲み取っているかのようだ。楽章が移ると、アメリカの香りがするメロディとリズムが奏でられる。街も人も陽気で活気にあふれ、エネルギーに満ちている。そんな光景が目に浮かぶようだ。各楽器の音色がしっかりと合い、スピーディーなところも音にブレや乱れがない。一曲でいろいろな景色を見せてくれた。《「四季」より「春」》(A.ヴィヴァルディ)も明るくおおらかに演奏され、穏やかな気持ちで聴くことができた。
 休憩をはさんで、後半は映画音楽。《ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ》(E.モリコーネ)。主人公トトの少年時代。キラキラと輝く瞳は好奇心であふれている。自らをトトに重ね合わせ、二度と戻れない日々への切なさが心を埋める。映画の名場面と共に、自身の子ども時代を思い出した観客も多かったのではないか。故郷へのノスタルジーをそのままメロディにしたような名曲。4人の演奏は懐かしい世界へと聴く者を連れていってくれた。映画の中で流れる様々な曲が披露された《サウンド・オブ・ミュージック・セレクション》(R.ロジャース)もそうだが、4人が弾く映画音楽は、映画や音楽にまつわる観客それぞれの記憶を呼び覚ましてくれるような気がした。遠い昔の喜び、悲しみ、夢、恋・・・そんな時間を与えてくれた。明るく軽快な《80日間世界一周》(V.ヤング)、ディズニーのロマンチックな《美女と野獣》(A.メンケン)も良かった。
 9月中旬だというのにまだ暑い中、カルテットの演奏は一服の清涼剤のように響いた。4人は楽譜を忠実に再現しようと試みているようで、その真摯な姿勢にも好感をもった。

ボランティアライター 青栁有美

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 月も半ばお彼岸も間近だというのに真夏の猛暑はいっこうに立ち去る気配がない。楽しい音楽で暑苦しい気分を吹き払おうと、逗子文化プラザさざなみホールに向かった。
 逗子市市制70周年記念事業の一環で企画された地元逗子ゆかりの女性音楽家4人によるコンサートだ。さざなみホールは満員、観客は老若男女のバランスも良い。
 前半のプログラムはクラシックの名作が並んだ。最初は、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と「四季」。2曲共に、今まで幾度となく聴いた曲だが、清涼感のある演奏で暑苦しいこの陽気にはちょうど良く心地良い。3曲目はA.ドヴォルザークの「アメリカ」。昔からお気に入りの曲だ。弦楽四重奏のコンサートでは最もポピュラーな曲ではなかろうか。大変な熱演で、特に第4楽章の掛け合いのところは聴きごたえ満点!土屋杏子氏(1stヴァイオリン)のリードが素晴らしかった。ブラボー!
 合間のトークでは、メンバー各々の逗子メモリーが紹介されていた。逗子映画祭の話が出た。あるのは知っていたが、生憎参加した事はない。逗子の土地柄に合ったイベントだ。折角なら、年に一回の逗子音楽祭だってあっても良いと、ふと思った。
 後半のプログラムはポップスが並ぶ。ディズニーアニメから「美女と野獣」、「ホール・ニュー・ワールド」と好きな曲が続いた。存分に楽しめた。私としてはディズニーシリーズの曲をもう少し聴きたかったと感じた。
 アンコールは2曲。チャールダーシュと情熱大陸。葉加瀬太郎氏の情熱大陸は、弦楽器コンサートの定番中の定番。アップテンポで快活、弦楽器の音色が味わい深い曲だ。大満足。
 爽やかなコンサートで十分に楽しめたが、ここで贅沢な提案。このようなコンサートを年4回、春夏秋冬に開催してもらえないだろうか。それぞれの季節に合った曲を集めて。こんな事を考えながら、ホールを後にした。

ボランティアライター 福岡伸行

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