ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします。
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“HERO IS COMING!” 競馬のCMのようだが、コントラバスを抱えたヒーローが逗子にやってきた!令和のヒーローはご当地(三浦半島)ヒーロー。マグロを食べて赤くなった戦闘スーツに身を包み、我らがコントラバスヒーローが、手作りの逗子でお馴染みのバスに乗って登場!必殺技はクラシック音楽の演奏だ。
来年、オープン20周年を迎える逗子文化プラザホールに、ヴァイオリン2人、ヴィオラ、チェロ、ピアノ各1人の計5人を引き連れてやってきたコントラバスヒーロー。優雅な前奏曲の演奏に続き、クラシックの名曲『アイネクライネナハトムジーク』を奏でる中、舞台には全身黒ずくめの悪者の手下2人が乱入。怪しく激しく舞台を駆け回ると、会場の子どもたちからは恐怖の悲鳴が!悪者の手下によって邪魔され、演奏がストップしたところに、赤の裏地が鮮やかな黒マントを羽織る覆面姿の悪の親玉、ソリスト伯爵が登場!J.オッフェンバックの『まわれ、まわれ、雲雀を捉える鐘の罠よ』を高らかに歌い上げ、悪者3人とヒーローの対決が始まる。明らかに劣勢のヒーローは、胸のエネルギータイマーが点滅し、息も絶え絶え…だが、会場からの拍手で勢いを取り戻した。
演奏の5人とともに、「音楽で決着だ!」とE.グリーグの『山の魔王の宮殿にて』で歌と演奏の掛け合い対決が始まったが、いつしか歌と演奏がシンクロし、最後はアンサンブル(合奏)となった。あたたかな光に包まれたヒーローと悪者は、音楽を通じて、戦いから融和へと解決を図ることになったのだ。そして、最後はヒーローと悪者が一緒に『逗子市歌』を披露。逗子文化プラザホールの、そして市制70周年を迎える逗子の平和は守られたのであった。
芸術・文化は、単なる楽しみだけでなく、争いを回避する手段となる、といったメッセージが、子どもたちにも伝わっているといいな。
ショーが終わって、明るいロビーに出ると、ヒーローと悪役が揃って記念撮影に応じてくれる。ヒーローも、悪役も、暗い照明のホールでは、全力で動き回り、ジャンプ、パンチ、キックを繰り出して、相当な迫力だった。実は、舞台では皆がヒーローだった。一緒に写真に写る子どもたちの顔は、泣いていた子でさえ、興奮と喜びにあふれていた。
結論。父親も、母親も、“ヒーローには勝てん!”
ボランティアライター 三浦俊哉
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