イベントレポート 「ファミリーミュージカル 劇団トマト座「オズの魔法使い」」2024年12月14日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 満席の会場は半分ちかくが子どもなのでは、と思うくらいだ。
 劇団トマト座は学校を中心に全国で公演活動をしている。その作品は子どもから大人を対象に、レパートリー豊富で、今日は『オズの魔法使い』の上演だ。
 舞台はアメリカのど真ん中、カンザス。『オズの魔法使い』でその地名を知る人も多いだろう。
 ドロシーとおばさんが互いにプンプンしていて、おじさんがなだめる様子に家族っぽさを感じていると、ドロシーがくるくると回り出して舞台が暗くなる。竜巻が来た。ドロシーと愛犬トトだけが竜巻にさらわれてしまう。たどり着いたのは「オズの国」。舞台の右端から、ニョキっと、二本の足だけが出ている。そう!つぶされた東の魔女の足だ。ストーリーは割愛するが、休憩をはさんで80分、主要なシーンが繰り広げられた。
 演出で印象的だったのが、西の国の魔女が水を掛けられて溶けるシーンだ。ついたてのような壁にうまく吸い込まれ、魔女の服だけが残り、溶けていく様子がうまく表現されていた。
 それから歌。オズの魔法使いと言えば、ミュージカル映画の劇中歌《虹の彼方に》という曲があるが、本作品ではトマト座のオリジナル曲だろうか、「Someday over the rainbow~」と始まる、ノリの良い曲が歌われた。カンザスでの生活に少し退屈して外の世界を夢見るドロシーが歌ったそれと、オズに迷い込んでカンザスを恋しく思い、ようやくカンザスに帰ってくることができたときに歌ったそれとは別ものと思わせる演出だった。欲を言えば、スピーカー越しでなく、生の歌声が聴きたかった。
 ライオンやかかしのおどけた素振りに素直に反応して笑う子どもたち。こういう姿、親は嬉しいだろうなと思う。ひざの上に抱かれたままスヤスヤと眠る赤ちゃんもいた。
 終演後のホワイエはごった返していた。ダッシュで出てきてくれたのだろう。ドロシー、木こり、かかし、ライオンたちがホワイエで待っていてくれる。手を振る子どもたちとスマホを向ける大人たち。こんなにたくさんの家族が、今日この場にいたんだなと思う。
 久しぶりにこの物語に触れて、随所に思うこと多々。「おうちがいちばん」(ドロシー)。「脳みそ・心・勇気がほしい」(かかしたち)。「エメラルドの国」がエメラルドに見えるのは、みんなが緑のメガネを掛けているから、などなど。同じお話を見ても、それぞれの尺度で感じる物語だと思った。他の皆さんはどう感じたのだろう、聞いてみたくなった。

ボランティアライター 深谷香

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