イベントレポート 「さざなみ亭落語会 三遊亭ごはんつぶ・鈴々舎美馬 二人会」2025年2月22日(土)開催

ホール主催の催しの感想や雰囲気をみなさまに発信する活動をしている“情報発信ボランティアライター”の方によるレポートをお届けいたします

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 開演ギリギリ、激しい俄雪(にわかゆき)に驚きながら、“さざなみ亭”に入る。席がほとんど埋まっていて、最後列に座った。間もなく始まったトークは、昨日、三遊亭ごはんつぶさんが、全国若手落語家選手権で優勝して賞金が100万円だったとか、最近、鈴々舎美馬(れいれいしゃみーま)さんが、ドローンを駆使したプロポーズをうけてご結婚されたとか、寿ぎ(ことほぎ)に満ちていた。
 開口一番、縦縞の粋な着物で高座に上がった三遊亭東村山さんは《てんしき》を口演。漢字で書くと“転失気”、おならのことだ。シンプルに反応した笑い声の主は子どもだった。
 続いて登場した美馬さんの出囃子はジュディマリ(JUDY AND MARY)の“そばかす”。これは印象的!演目は《かぼちゃ屋》。美馬さんが下手(しもて)の方を向くと、ちょくちょく目が合う気がして、うんうんと頷きながら聴いた。二席、古典落語を楽しんだ。
 愈々(いよいよ)ごはんつぶさんの番だ。ごはんつぶだけに出囃子は《米洗い》。薄紫の着物に青い羽織。三遊亭の定紋・三つ組み橘を着こなす。
 まずは三題噺をやってくれるという。会場のお客さんからどんどんお題を募った数多(あまた)からみんなで選んだお題は「ドローン」「100万円」「トランプ大統領」の3つ。加えて前日に優勝した演目《落語業界の真実》をしっかり絡めた三題噺が出来上がった。なかなかの無理矢理さ具合で繋げていく。袂から次々と四つ折りにした用紙を出し広げながら口演。どう見ても“紙”だが、彼は“手拭い”と言い張る。演芸番組【笑点】の師匠たちをレオナルド・ダ・ビンチ【最後の晩餐】の使徒たちに見立てる。フリーメーソンのマークを上方落語協会のマークになぞらえる。突拍子がなさすぎてオチを予想する隙も与えない軽快さだった。
 終演予定まであと5分しかなくなると、《寿限無》を端折ってやると言い出す。始まるやいなや端折りすぎと思いきや、ただの寿限無ではなかった。その名も《DJ寿限無》。ボイスパーカッションで芸達者を披露。雑学男子なのか盛り込んでくる話題が豊富で明快。誰も置いていかない落語だった。江戸の人たちも、みんなでこんなふうに笑っていたのかなと思えた。
 落語との出会いは5年前、きっかけはこの情報発信ボランティアだった。落語のすべてが御初で、勉強しに来た感じだった。ようやく今日、ゆるゆると愉しんでいる自分と出会えた。
さて、帰りに図書館に寄ったら、楕円のテーブルで女の子が2人、額を寄せて『寿限無』を音読しているではないか。にわかにオチのおかわりを頂いて頬笑んだ。

ボランティアライター 深谷香

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 逗子文化プラザホールの“さざなみ亭落語会”と言えば、三遊亭わん丈師匠が二ツ目の頃から毎年開いていた、逗子の落語好きにはお馴染みの会です。かつて前座としてこの会に登場した弟弟子のごはんつぶさんが、“勲章”をひっさげ、二人会として来てくれました。お相手は、ごはんつぶさんと同じ二ツ目の若手女性落語家、鈴々舎美馬(れいれいしゃみーま)さん。MC役の前座、三遊亭東村山さんを交えた“立ちトーク”でスタートしました。
 茶髪ロン毛のごはんつぶさんの“勲章”とは、なんと前日に渋谷で開かれた若手落語家の登竜門「公推協杯 全国若手落語家選手権」に見事優勝し、賞金100万円をゲットしたこと。一方、美馬さんは、自身の結婚相手の男性がドローンを使ってプロポーズし、その模様がYouTubeにアップされたいう話。続いて、観客からお題をもらって、即興で「三題噺」を作るという、わん丈師匠定番の趣向です。「100万円」「ドローン」「トランプ大統領」が選ばれ、お仲入り後の披露となりました。
 落語の開口一番は、東村山さんの「転失気(てんしき)」。とぼけた表情で、独特のフラを持った噺家さんです。おならの噺で、小学生の笑い声がはじけました。美馬さんは「かぼちゃ屋」を披露。登場人物は男ばかりですが、主人公の与太郎さんは可愛らしさに溢れ、男性演者とは異なるあたたかい人物の描き方が持ち味となっていました。
 お仲入り後、ごはんつぶさんは、いきなり三題噺に突入です。唐突に「トランプ大統領」が日本に登場し、文化を探るために「ドローン」を飛ばすと、渋谷に人だかり。よく見ると、「公推協杯 全国若手落語家選手権」の会場。ここで、昨日の優勝したネタを、劇中劇のように披露してくれました。創作落語「落語禁止法-落語業界の真実」です。誕生100年の落語協会等、日本の落語の各協会は、実は英の秘密結社フリーメイソンだという荒唐無稽な話。落語協会のマークが『プロビデンスの目』に似ているとか、落語芸術協会(GEIJSU)のアナグラムがジーザスに近いとか、『笑点』大喜利の並びが『最後の晩餐』の構図と同じだ等、フリップを使って畳み掛けられ、その強引さに思わず笑ってしまいました。おまけに、三題噺のオチが、「いいオチが思い浮かばず、落ち着かない」…腰が砕けてしまった。
 最後は、あの「寿限無」の長い名前を、ボイスレコーダーで早回ししながら、DJがラップに乗せて歌うという、何ともシュールな演目でした。ごはんつぶさんの器用さが際立ち、落語の敷居が、一段と低くなった、賑やかな二人会でした。

ボランティアライター 三浦俊哉

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