★イベントレポート「さざなみ亭落語会 蜃気楼龍玉」2016年9月25日(日)開催

レポート

 

 

 

 

 

 

 

 

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 春、長寿落語番組の名物司会者が交代し話題になった。夏には、過酷なチャリティマラソンに挑戦した、若手落語家が注目をあびた。今、落語界が熱い。ここ『さざなみ亭』にも、小学生からお年寄りまで幅広い年代が集まった。白い屏風を背に、赤い高座と紫の座布団。お馴染みの舞台に、一番手の柳家さん若(やなぎやさんじゃく)が上がる。酔って帰った亭主は女房に叱られ言い返す。外は外、内は内。飲んで帰っても、家でもう一杯いかが、というのが女房というもの。亭主の勝手な言い草にあきれる女房だが、おでんの具の話をきっかけに歩みよっていく。紙切り・林家楽一(はやしやらくいち)のハサミさばきは美しい。ひょうひょうとした風貌と優しい物言いも魅力だ。1~2分で「疾走する馬」が完成。地面を蹴り、たてがみがなびく躍動感あふれる作品に、驚きの声が上がる。リクエストにも難なく応えてくれる。今日はすべて人物だったが、「みなとみらい」や「サグラダファミリア」などは、どんな仕上がりになるのだろう。次回見てみたいものだ。本日の目玉、蜃気楼龍玉(しんきろうりゅうぎょく)の一人芝居は圧巻である。大工の熊五郎に別れた妻と一人息子の亀。彼らをとりまく人々まで、何役も演じ分ける。投げかける視線や指の先まで感情がこもり、3年ぶりの再会シーンには会場が静まりかえった。夫婦が元の鞘に収まるのもこの子があったればこそ。言わずもがな。大工ならではの落ちがついて幕となる。

ボランティアライター 羽田桂子

 秋の長雨からやっと晴れた9/25(日)、『さざなみ亭落語会』へと向かった。その名の通り、会場は逗子文化プラザ1階、さざなみホール。法被姿の受付の方にお茶とお菓子を頂き、着席。午後1時、可愛らしい幕が揚がる。落語はいずれも‘呑んだくれの亭主’の話であった。まずは、柳家さん若。ああ言えばこう言う酔っ払いと女房との掛け合いが笑いを誘う。女房が出掛けたと思い「あんないいかかあはいねえ」などと呟いていると「実はまだいた?!」どっと笑いが起きた。間に紙切り、林家楽一。客席からの難題に躊躇いなく鋏を入れ、それは見事に形にしていく。さあ、いよいよ真打ち蜃気楼龍玉の登場。酒の挙げ句に遊女に夢中なり、女房、子どもに出ていかれ、やっと改心した頃、息子と再会…、最後は子はかすがいと元の鞘に収まるのだが。探りを入れ合う両親に対する息子の屈託のない発言が絶妙に可笑しいのだ。こうも笑い話にされてしまうと、なんだか酔っ払いも憎めなくなってしまう。午後2時45分終演。ほぼ満席の会場の中にお婆ちゃんとお孫さんという微笑ましいカップルの姿も。ちょっと位の駄目なところも笑ってしまえ!お年寄りから子どもまでみんな一緒に!

情報発信ボランティア 佐々木安弥