当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。
8月4日(日)午後2時。灼熱の太陽。酷暑の真っ只中。さざなみホールがクラブに変わる。
“ダンサーとミュージシャンの5人のカリスマEMPTY KRAFTが逗子のステージに再び”だそうだが、当方、彼らは初見。期待と不安…夏フェスのノリが近くで味わえる、でも穏やかな逗子でハマるのか?“360°クールにキメる、彼らのパフォーマンス”って謳い文句にいい意味で裏切られた。
終わってみれば、頭っから尻尾まで、ハイテンション、全力疾走、途中息切れ、でもお構いなしに走りきった5人。ドラム、ベース、ギターを加えて、終始、ニッコニコでピョンピョンの2時間だった。誤解を承知で言うと、昭和生まれ・50代の私にとって、彼らは令和のチンドン屋である。これは褒め言葉だ。威勢のいい演奏と踊りで、ステージを練り歩き、汗をかいて何かを強烈にPRする。それはダンスの楽しさであり、楽器の素晴らしさであり、ノリの大切さであった。身体を張って目一杯表現する彼らに…表現できる彼らの技術と若さに、素直に感動し、嫉妬した。
前半は、サックス2本とストリートファッションのダンサー3人が入り乱れての、ハイテンション・パフォーマンス。椅子に座った観客を前に、やりづらそうにしていたのは最初だけ。強烈なビートの上で跳ね回るサックスの中で、3人のストリートダンスが炸裂。狭いステージを、ぶつかることなく、縦横無尽に動きまくって、彼らの世界に没入していった。あっけにとられながら、いつしか手拍子を繰り出し、自然に腕を伸ばして手のひらを頭の上で振り続けている僕たち。最後は、ダンサーたちは引っ込み、アルト&テナーサックスの掛け合い。計6曲を披露し前半終了。舞台上にゼー、ハーの息遣いを残して。
後半は、メンバーがアロハシャツに着替えてリゾート感を出しつつ、ちょっとメロー&ダンディーなスローダンスで幕開け。次に、ダンサーが一人ずつ、自分の好きなダンスを披露。KENTA氏はカクっと鍵がかかるような“ロッキング”、MC日野氏は、踊れるJ-POPの代表“山下達郎”の《高気圧ガール》にのせて、YU-TA氏はダンスのイイとこ取りで編集した“トラック”と、三人三様。そう言えば、同じ振りを踊っても、首のかしげ方、手の広げ方、次の振りまでのスピード等、それぞれの違い・癖があって面白い。でも、しっかりとシンクロしているのはプロ。「一つになって、飛ばしていこうぜぇ!」とMC日野氏が観客を煽る、煽る。加速がかかった後半。逗子をイメージしたオリジナル曲《あったかい逗子(仮)》を披露。ケニー・Gばりの、しっとりと美しいソプラノサックスの調べ。リビエラ逗子マリーナの夕陽が目に浮かぶ。怒涛のラストは、観客全員が立ち上がり、メンバーより70年代ディスコミュージックの振りを伝授。皆で踊って、飛び跳ねて、汗かいて、アンコールまで全15曲、最後は穏やかな逗子が吹っ飛び、老若男女みんなが狂喜乱舞した真夏の午後だった。
頑張れ、チンドン・パフォーマーEMPTY KRAFT!次は世界だ!
ボランティアライター 三浦俊哉