★イベントレポート「さざなみ亭落語会 三遊亭わん丈&みんなで創る落語会 其の三」2019年11月16日(土)開催

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 11 月としては寒くなく過ごしやすい日差しの中、さざなみ亭落語会の開演である。受付を済ませると最初に目に付いたのがホワイトボード。付せんが貼ってあり、今日の落語会に使うであろう来場者からのお題が何枚か貼ってある。さざなみホールに入ると、120 人は座れるだろう椅子が並べてあり、こんなにたくさんの人が来場されるのかと思った。
 定刻どおりはじまり、前座の林家きよひこさんの落語が始まった。ふと会場内を見渡すと、大人から小さな子どもまで入っていて満席状態である。その後すぐに三遊亭わん丈さんが高座に上がり、自分の思っている事、感じている事、家族の事などを話し、お客様は食い入るように聞き、会場内は笑いの渦に包まれた。お客様のつかみは抜群である。
 事前投票で選ばれた演目、古典落語「近江八景」を話し、自ら事前に用意してあったのであろう大きな扇子に滋賀県近郊の県が描かれていて、近江八景とはどういう場所なのかを15 分ぐらいかけて話し、本来の落語の噺
より長く楽しめた。受付にあったお題の書かれたホワイトボードの中から、ジャンケンで三項目選び、つなぎ合わせて一本の落語にするという事になり、“3 時のおやつ”、“ラグビー”、“バレエ”の三項目が選ばれ、仲入りとなった。15 分の仲入り後、面白おかしく、5 ~ 6 分ぐらいの落語をして会場内は拍手と笑いで一杯になった。その後の演目も滋賀県の内容の落語を行い、ぴったり時間どおりに終演となった。そして最後に出演者のサイン入り色紙の抽選会を行い、手締めの三・三・七拍子を来場者と共に行った。会場内は楽しい雰囲気で幕を閉じた。わん丈さんのさざなみ亭落語会は3 回目なのだが、落語を聞いていても飽きず、とても分かりやすいので、ぜひ、皆さまも公演に足を運んで楽しい時間を過ごしていただければと思います。

ボランティアライター 佐々木 一弘

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 初めての落語。演目は始まるまで分からないので、どんな噺が聴けるのかが楽しみな反面、ついて行けずに、何だっけ?誰だっけ?とならないか不安もあったが、大丈夫だった。
 さざなみ亭のスタッフが羽織る紺地のはっぴも、静かに流れるお囃子も、寄席ってこんな感じなのかな、と思わせてくれる。
 入口にホワイトボードがあって、パステルカラーの付箋がたくさん貼ってある。来場者が、わん丈さんの落語でネタにしてほしい“お題” を書いたものだ。
 プログラムは太めの筆で縦書き。『番組』とか『お仲入り』とか、雰囲気たっぷりだ。一昨年から続いている企画のようだが、来場者の投票で演目を決めたり、“お題” を募集して噺を創ったり、当日のお楽しみが満載なのだ。
 ステージ上の高座が、イメージより随分と高かった。後ろの席からでも噺家さんの座布団がよく見える。そこに座っていきなり落語を始めるのではなくて、なんとなくのお喋りから、さりげなく演目に入っていくものらしい。ご自身やご家族の話は身近に感じ、リラックスして聴くことが出来て、わん丈さんときよひこさんのプロフィールもふくらむお喋りだった。
 わん丈さん曰く、入門三年目のきよひこさんは「利口な前座さん」とのこと。ハキハキと《新聞記事》を一席。「ラ行」の発音が巻き舌で特徴的だ。彼女のチャームポイントだと思う。
 わん丈さんの《近江八景←投票演目》では、内容が分かりやすいように、舞台となる滋賀県(わん丈さんの出身地)を自作の教材?のようなもので図解。さすが噺家さん、説明が上手だ。落ちが分かっている話でも、アレンジが噺家さんの持ち味となり、何度でも面白く聴けるものなのだろうなぁと思った。
 『みんなで創る落語』の即興噺は見事だった!初めて聴く噺だと、どうしても落ちを想像したくなるというか、先回りして当てたくなるというか…。でも全く見当がつかず、聴けば、なるほどそう来たか!
まとめにくそうなお題にもかかわらず、20 分で創ってそれを流暢に聴かせてしまうなんて!この一席は、感心>笑い。
 最後の演目は、わん丈さんが「自作の新作を申し上げます」と切り出した。そう、実は最初からこんな感じでどこか謙譲。所作にも艶があった。べらんめえ口調に隠れがちだが、落語はとても美しい話芸なのではないか。さも軽やかに笑いに持って行くけれど。そんな感想にたどり着き、伝統芸能にカテゴライズされるのも腑に落ちて、初めての落語は幕を閉じた。

ボランティアライター 深谷 香