★イベントレポート ファミリーミュージカル「ピノッキオの冒険」2019年12月1日(日)開催

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 師走に入り令和元年も残り1 ヶ月である。開演時間が迫るにつき会場内は小さなお子さん連れの親子でほぼ席は埋まっている。劇団トマト座による誰もが知っているミュージカル劇「ピノッキオの冒険」の幕が開く。おじいさんの家に置かれた木の人形ピノッキオが星の妖精によって命を吹き込まれて動き出す。でも本当の子どもになるためには、勇敢で正直で嘘をつかず優しくなければならない。星の妖精はコオロギをピノッキオの良心として、正しい道を歩むようにお供としてつけた。ネコとキツネの誘惑によりサーカス場に行ったり、人間をロバに変えてしまう島“デビル島” に行ったりする中、ピノッキオを探しに出たおじいさんが怪物クジラに飲み込まれていた。ピノッキオもクジラのお腹に飲み込まれておじいさんと再会する事ができる。そしてなんとか脱出する事ができた。自分を犠牲にしておじいさんを助けたピノッキオの前に妖精が現れ、奇跡がおきて、本当の人間の子供になることができた。というミュージカル劇だ。
 このピノッキオの物語のようにいろんな困難を残り越え、悲しい事、誘惑を乗り越えて、勇敢で正直で嘘をつかず優しい人間でなければならない事を伝えているのだと思う。
 調べて見ると、この劇団トマト座は北海道から沖縄まで公演をしていて、子どもから大人まで一緒に楽しめる舞台づくりをしている。夢を育み創造力豊かに成長して欲しい。という事を目標としている劇団である。まだまだ色々な作品があり興味深く楽しめそうだと思った。
 そして小さい子どもと一緒に観劇している光景を見ると、お子さんをあやしながらの観劇は大変で頭が下がる思いだ。だが来場者はみんな、いい笑顔でホールを後にしていた。

ボランティアライター 佐々木 一弘

*************************************************

 開場前、ホールの出入り口付近はすでに親子連れでいっぱい。座席につくと、あちらこちらから子どもたちのおしゃべりが聞こえてくる。「ピノッキオ、出てくるの?」「この席いやだ、もっと後ろがいい」「今日、映画やるの?」なんて子も。
 《ピノッキオの冒険》は1883 年に出版された児童文学。ディズニーによってアニメ映画化(ピノキオ)もされ、長く愛され続けてきた作品だ。原作、映画、そして今回のミュージカルでは、少しずつストーリーが違っているものの、いわゆる子どもの成長物語である。本公演を簡単に紹介すると...ゼペット爺さんが木で作った少年の人形ピノッキオは、妖精によって動いたり、しゃべったりすることができるようになる。ゼペット爺さんの子どもとなるが、努力することより、怠けることや遊びへの誘惑に負け、危険な目に遭ってばかり。それでもゼペット爺さんの愛情に守られ、様々な経験をしていくうちに、勇気や他人を思いやる心が養われ、木の人形から、本当の人間になる...というもの。
 劇団トマト座の役者さんたちは、身体を弾ませながら、手と足を大きく動かして演じる。声には張りと伸びがあって、よく通り、セリフも歌詞も明瞭で聞き取りやすい。声、セリフ回し、動きで役の個性をよく表現している。楽曲もダンスの振付けもわかりやすくシンプルで、子どもたちにもマスターできそう。衣装もセットも色鮮やか。子どもたちがピノッキオの世界にぐんぐん引き込まれていく要素がいっぱいだ。ステージから質問をするようなセリフが投げかけられると、子どもたちは声を張り上げて一斉に答える。「金のなる木なんてあるの?」「ないー」。皆、集中している。
 休憩時間には、パパやママがここまでのストーリーを説明する姿も。「優しいふりをして、ピノッキオをだましているのよ」「ピノッキオはもともと人形なんだよ」
 悪気はないけれど、無知、未熟さゆえに過ちや失敗を繰り返し、いろいろな経験を経て成長していくピノッキオの姿は、あらゆる子どもたちに重なる。やっていいことと、いけないこと、優しさ、正直さ、知恵等々を1
つ1 つ学んでいき、その魂は輝きを増していく。
 終演後、「妖精が好きだった」「コオロギがかわいい」と目をキラキラさせながら、感想を口にする子どもたちを見ながら、心の中で呟いた。(ピノッキオはあなたたちなんだよ)。

ボランティアライター 青柳 有美