★イベントレポート「荘村清志ギター・リサイタル」2016年2月7日(日)開催

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 14時。なぎさホールの舞台袖から荘村さんがすらりとステージ中央へ。薄いブルーのシャツに黒のパンツルックだ。ギターを立てるように持つとすぐに演奏を始める。M・アルベニス“ソナタホ長調”を演奏し終えると、すっと立ち上がって深々とお辞儀をされた。(最初から最後まで、一曲ごとにそうされたお姿が印象に残った。)マイクを持つと「今日はありがとうございます。今日はスペインの曲を演奏したいと思います。」そう切り出し、スペイン留学の思い出を話された。スペインを第二の故郷のように感じられているそうだ。
 何曲か聴いているうちに、訪れたことのないスペインという国に思いを馳せ、音楽を聴いているというより、スペインの土地や空気の温度、湿度、匂いを、空間そのものを体感しているような気分になっていた。もともと抱いていたスペインに対するイメージと、荘村さんの話すスペインの様子 – 樹海のごとく延々と続くオリーブ畑、青い空、地中海側の入り組んだ入り江、砂漠、各地方で故郷にプライドを持つ人々 – そんな中にポンと置かれたような気分だ。周りは微動だにせず聴き入っている。
~ 休憩時間、ロビーにはコーヒーの香りが漂う。CDも売られていて、終演後にサイン会があるようだ ~。
 後半はソプラノ歌手の小林沙羅さんとの共演。赤いドレスを纏い髪にも赤い花が飾られている。荘村さんも上下黒のスーツにお召し替え。没後20年になる武満徹さんの作品は、現代音楽の印象と異なり親しみ易かった。ソプラノの演奏と聞くとピアノの前て歌うイメージだったが、ギターとの共演だからだろうか、ロドリーゴとファリャの作品では、沙羅さんの姿がステージに映えオペラのワンシーンを見ているようだった。袖に戻るときの姿もかわいくて、ふわふわひらひら、チョウチョみたいだ。荘村さんの曲紹介でアンコールも最後の曲となる。「“めぐりあい”という曲でお別れです。」急にそんな洒落でしめくくられて、楽しそうなお人柄も見せてもらえた。
 
情報発信ボランティア 深谷 香