★イベントレポート「天満敦子 ふれあいコンサート」2017年3月12日(日)開催

レポート_ふれあいコンサート

 

 

 

 

 

 

 

 

当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。

 

「今日のこの音を少しでも覚えていて欲しいと思います」コンサートの終盤、天満敦子さんが会場の親子連れ、お孫さん連れのご家族たちに語りかけた。通常のクラシックコンサートとは異なり、小さいお子さんの入場OK。立ち歩きも、泣いても騒いでもOKという、このコンサート。開演前の会場は、お子さんたちの「これから何が始まるんだろう」という期待感と、「子どもに本物のクラシックの音色を聞かせたい」という親御さん達の期待感が入りまじった、心地よい緊張感で満ちていた。そして開演。「騒いでもOK」と言われていても、実際にそうするお子さんは皆無と言ってよかった。大人も子どもも全員一つになってステージを見つめ音色を聴く、いや感じていたのだと思う。天満さんは舞台からさらに語った。今では世界的なヴァイオリニストの彼女も、小6までは週に1回しかヴァイオリンの練習はしなかった。ところがある日、学校の体育館にやってきた小さなオーケストラの演奏を聴き、音楽の本当のすばらしさに目覚めた。「その時のその音色は今も私の耳にはっきり残っています」と。この日この会場に来て、天満さんの演奏にふれたお子さん達がその音色に感動し、そしてその感動と想いを、彼らの次の世代にまた伝えていってほしい。そんな気持ちにさせてもらえたコンサートだった。

ボランティアライター 浅野修弘

 

たった一本のヴァイオリンと一台のピアノから、実に豊かで広々とした世界が表現されていた。本日の公演はお子様もOK、出入りも自由とあって、初めてのクラシック体験であろうお客様がたくさんおり、とても賑やかである。11:00天満氏、ピアノ・酒井氏の登場と共に1曲目を演奏、一言挨拶をとその瞬間「キャー」と赤ちゃんの大きな声が…。「元気ねえ」と微笑む天満氏。その朗らかさと気さくなおしゃべりに、クラシック経験は小さな皆様と変わらない程度の筆者も緊張がほぐれた。2曲目は『スワニー河』。行ったこともないのに、懐かしさが込み上げてくるのは何故だろうか。続けて、誰でも耳にしたことがあるような親しみ深い曲を一糸乱れず演奏していくお二人。中盤に差し掛かるとぐずり出す子、会場内のお散歩を楽しむ子が増えていくのだが「いいのよ」と語りかけるように愛情溢れる音色を届けてくれる。そして、生命の尊さを訴えかけるような力強い『ジュピター』で45分間の幕を閉じた。ヴァイオリンの音はマイクを通さずにもホールの最後尾まで響きわたるということを、282歳のストラディバリウスに今更ながら教えられた未熟者のクラシック体験、新しい世界への扉を開いてくれた。

ボランティアライター 佐々木安弥