当ホールの情報発信ボランティアによるレポートです。イベントの雰囲気や感想を発信する活動をしています。
木管五重奏はおもしろい!その魅力を再認識した2時間だった。木管楽器フルート(島田結衣)、オーボエ(吉川直貴)、クラリネット(田中麻祐子)、ファゴット(木村卓巳)に、金管楽器ホルン(疋田遥香)を加えての演奏。音色も個性も違う5種類の楽器が、巧みなまとまりをみせ、1つの楽曲を紡ぎ出す。
たとえば、イベールの《3つの小品 Ⅲ.Assez lent-Allegro scherzando》は、各楽器が異なるメロディとリズムを演奏し、それをクラリネットがうまくリードして変化に富んだ曲に仕上げていた。前半のクラシックの中で特に印象に残ったのは、ラヴェルの《クープランの墓》。木管五重奏で表現すると違った趣になるが、それぞれの楽器が複雑に絡み合い、木管五重奏ならではの柔らかさでラヴェルらしい世界を創り上げていた。
休憩をはさんで、後半は《ディズニー・ミュージック・メドレー》から《いつか王子様が》《星に願いを》を含む5曲が披露された。子どもから大人まで楽しめるディズニーの夢や優しさや純粋さに満ちたメルヘンの世界に、音質が絶妙に合っていてステキだった。続く《魔女の宅急便メドレー》もジブリの世界に木管五重奏の響きがピタリ。シンプルなメロディに5種類の楽器が変化をつけ、曲をいきいきとさせている。物語を語ってもらっているような気分になった。《ニュー・シネマ・パラダイス メドレー》は次々と異なる音色が繰り出され、時に混じり合い、映画の世界を再現していく。心に残るシーンや登場人物たちの表情、セリフが懐かしく思い浮かんだ。ラストは《サウンド・オブ・ミュージック メドレー》。楽器それぞれに個性があり、それぞれの旋律とテンポで吹きながら、楽曲にヴァリエーションをつけていく。まさに木管五重奏の真骨頂ともいえる楽しさがあった。
後半は1曲ごとに様々な世界へ連れて行ってくれる素晴らしい時間だった。
華やかな曲も、そこにはやはり、木管五重奏ならではの穏やかさや癒しがある。クラシック、映画音楽、ミュージカルetc…どのジャンルの音楽もその魅力を保ちながら、木管五重奏の持ち味を発揮し、(こんな演奏もあるんだ)と感心させられた。作曲者、編曲者の力量によるところも大きいと思う。
木管五重奏―やみつきになりそうだ。
情報発信ボランティアライター 青栁有美
春の午後。開場前の受付に並ぶ聴衆の表情は、穏やか。始まる音楽会に寄せる大きな期待・高揚感を抑えるかの如くに落ち着いたギャラリー・ホワイエの様相でした。
さざなみホールの中、フラットな空間と舞台には、木管楽器の色彩と演奏者ドレスの色艶が、とても場に相応しく素敵でした。見渡しますとホールそのものが、芸術作品であるかの如く厳かな誇りに満ちています。
さて会場では、前半はホルン奏者の楽しい司会・進行に始まり楽曲は、木管楽器各々の個性がハーモニーとなり、豊かな情感に溢れていました。選曲されたプログラム・作品が為せる技・効果なのでしょうか?演奏家各個性の技量・情感・おもてなしの心の為せる効果なのでしょうか?と不思議な想いに駆られる温かいサウンドに始まり展開されて行きました。
プログラム前半には古典的な楽曲を中心に、後半にはどの世代にも馴染みある楽曲をメドレーで。その選曲の中には、会場におられた演奏者のお母様へのバースデー・ソングがありました。
それが引き金となってホールは、いくつもの小さな物語いっぱいの小宇宙となって行きましたので、アンコール演奏の終わった会場には、大きな旅をした後の満足感が漂う聴衆の笑みに満ちていました。ただその中で楽曲と想い出が重なり涙腺の緩む聴衆も間違いなくいましたけれど。
末尾からですが、何度経験・体感をしてもその度に新しい何かお土産の頂ける逗子文化プラザホール主催定番の演奏会でした。“ありがとうございました”
情報発信ボランティアライター 長坂祐司